交流を促し創発する場

オフィスを持たない働き方や、コストをあまりかけないスタートアップのかたちがもてはやされるようになり、インキュベーションオフィスやそれに類する場というのが一般的になってきました。大手資本が立ち上げるものもあれば外資のもの、さらには地域の一企業が新規事業として立ち上げるものまで様々です。

さすがに地方部ではまだまだ少数ですが、東京など都市圏を中心にインキュベーションオフィスの需要と供給共に伸びているように感じます。一等地の立地を比較的低コストで借りることができるとあって、若いベンチャー企業を中心に利用されているようです。そこに入居することが名誉でありかっこいい、というようなイメージ作りに成功しているところもあり、主流にはならないまでも、その立ち位置を確立していると言えるかもしれません。

今回のテーマは、こうしたインキューべーションオフィスの顧客管理及び予約管理システムの構築についてです。どのような仕組みを実装すれば利用者と運営者側双方にとって使いやすいシステムになるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 共用施設を簡単管理

インキュベーションオフィスの場合、会議室や商談室が共用の場合が多いと思います。入居者であれば予約をすれば利用できるかたちをとっているのではないでしょうか。もっとも原始的な管理であれば会議室前にボードや紙を置いておいて先着順という運用かもしれません。

こうした共用施設の予約を、入居者向けポータルサイトから行えるようにしましょう。スマートフォンにも対応して使いやすくしておくことで、急な来客対応や出先からの予約時にストレスなく行えるように配慮します。ログインできるスタッフを各社で複数人設定できるようにしておくと、チームでの管理が行いやすくなって利便性が向上するでしょう。

また、共用プリンタへのデータ出力や、3Dプリンタ等へのデータ移動を簡単に行えるようにするためのデータ共有スペースも設けておき、大容量データをオフィス内でやり取りできる環境を整えておきましょう。

Point.2 毎月の請求をリアルタイム確認

インキュベーションオフィスの料金体系は、月額課金と、有料のオプションを都度ないし月次で精算というかたちをとっていると思います。こうした課金状況を入居者向けポータルサイトにログインすることで随時確認できるようにしましょう。

経費処理に使いやすいように明細のPDFダウンロード機能を設けるのも忘れないようにします。また、ゲストの利用料なども請求として含めることもできるようにしておくと、来客の多い会員に喜ばれるかもしれません。さらに踏み込めば、各社で利用が多い経費生産や会計管理サービスとの連動も視野にいれてみてください。こうした効率性を高める提案は入居率をさらに高め、物件価値の向上に寄与する効果も期待できます。

Point.3 入居者間の交流を促すポータル機能を強化

インキュベーションオフィスの魅力は、一等地のオフィス環境を比較的低コストで利用できるというものもありますが、入居者間の交流というのも大きな魅力の一つです。こうした入居者間の交流、そしてそこから生まれるシナジーを最大限に促進するために、入居者用ポータルサイトを最大限に活用しましょう。

ポータルサイト内で簡単にコンペや案件呼びかけが行えるようにしておきます。何かをして欲しい企業と何かを手伝える企業を結びつける仕組みです。また、企業ごとにどういった会社か、何が得意かをあらかじめ登録しておくことで、自然と依頼が行き交うような情報蓄積も行います。また、コラムの寄稿など、自分たちの紹介をまじえながら特定のテーマについてコンテンツをアップロードしてもらう仕組みも良いかもしれません。内容のチェックは必要ですが、ホームページのコンテンツ強化につながりますし、企業紹介にもつながります。

こういったオンラインでの交流に加え、オフラインでの交流も運営者側がハブとなって促進しましょう。週に1回や月に1回の頻度での入居者交流パーティーの開催や、運営者側が発行する印刷物での入居者紹介など、方法はいくらでもあります。定期的な外部に開かれたイベントを開催するのも良いでしょう。インキュベーションオフィスとして不動産業として勝負する一方で、こうしたサービス業としての側面も強化することで、他のオフィスとの差異化につながり、顧客の囲い込みにつながります。積極的に取り組んでみてください。

インキュベートという原点

インキュベーションオフィスはその設立目的から新しい何かを創発することを目的としています。ただオフィスサービスを提供するだけでは目的の半分しか達成していません。入居者間、又は入居者同士の枠を超えた新しいコラボレーションを促進してこそ、その真価が発揮されるのだと思います。

オフライン、オンライン、両方の取り組みがなければ達成し得ない課題だとは思いますが、入居者満足度を高め競合との差異化を実現するためにも、入居者が快適かつ創発し合える仕組み作りに注力してみてください。

開発スタッフのコメント
インキュベーションオフィスはあまり運営側がでしゃばるものではありませんが、黒子としてその使い心地や居心地には徹底的にこだわるべきなのは言うまでもありません。かといってスタッフでなくてもできる部分は徹底的にシステム化し、自動化と24時間化すべきです。同時に設備の稼働状況などの見える化にもつながりますので、会員企業がどういったものを欲しているのかをきちんと理解することにもつながります。人のホスピタリティが必要な部分は人に委ね、それ以外を包含するシステムづくりに投資してみてください。