大規模イベントの受付

見本市や展示会に代表される一定規模以上のイベントでは、受付管理が大きな手間になります。事前に申し込みのあった人への対応や当日申し込みの人への対応など、思っている以上にオペレーション自体が複雑になりがちです。

人員を薄くしすぎると行列ができてしまい参加者満足度を著しく損ねてしまいます。かといって受付にたくさんの人員を配置するのもコストばかりがかかってしまいます。会場案内には人員を割くべきですが、受付に固定されてしまう人員は最小限にすべきでしょう。

今回のテーマは、こうした大規模イベントの受付管理システムについてです。どのように設計し、どういった機能を実装すれば運営側も参加者も満足するシステムができあがるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 受付管理システムと連動

小規模なイベントならエクセルに打ち込むか、エクセルの表を印刷したもので参加者チェックを行っていることも多いと思います。参加者が数十人のレベルであればこれでも運用できますが、参加者の数が3桁4桁となってくると効率が悪くなります。

参加者管理は専用のシステム上で行うようにし、そもそもの参加申し込みを受け付けるシステムと連動するようにします。参加申し込みを申し込みフォームから受け付けると同時にデータベースに保存されるようにし、受付の際はその時のデータを表示し、参加受付処理を行うようにします。データの転記といった手間がなくなるだけでなく、データが一元管理されるので整合性がとりやすくなります。

事前にチケットを発行する場合にはそうしたチケットの発行機能も統合してしまうのも有効でしょう。印刷コストと発送の手間が大きくなってしまうので、特に障壁がなければスマートフォンでのQRコードチケットにするのも良いでしょう。

また、受付作業ができるだけ早く行えるよう、事前に発行しているDMのバーコードを読み取ってすぐに検索できるようにもしておきましょう。もちろん、封筒に印字する用のバーコードもシステムが自動でラベル出力を行うようにしておくことで統合管理の良さを最大限に活用します。

さらに発展型としては、自動チェックイン機を導入するのも良いでしょう。パソコンにリーダーをつけることで、システム内の情報と照合してチェックインや、案内リクエストなどを行うこともできます。従来の人による対応と、セルフレジではないですが、セルフ受付の列を両方設けるのも現実的な選択肢です。

Point.2 会場内案内もスマートフォン配信

受付の際に会場案内図や出展企業一覧といった、たくさんの資料が渡されるのが一般的かと思います。紙媒体も良いのですが、スマートフォンで簡単に確認できる地図を準備しましょう。重たい資料を持ち歩きたくない人のために専用の画面を準備し、そこから地図や出展企業の情報を確認できるようにしましょう。

もちろん、資料一式は受付時に手渡すことはできますので、スマートフォンに何でもかんでもさせる必要はありません。イベントの種類によってスマートフォンでの情報提供と紙等の現地媒体との棲み分けの最適バランスがあるはずですので、柔軟に対応してください。

Point.3 登録メールアドレスで資料請求を可能に

出展している企業の中で、気になる企業があると名刺を投函して資料をお願いするスタイルが一般的です。ここでは一歩進んで、運営側が間に入る資料請求のスタイルを提案します。

運営側には参加者のメールアドレス情報が申し込みの際にわかっています。参加者は運営者側に特定企業の資料請求を希望する旨を通知することで、該当の企業から運営者経由で資料を請求できるようにしておきます。

こうすることで、「そこまでではないけど資料だけは欲しい」「気にはなっていたけど時間がなくて回りきらなかった」という場合のマッチングを促進することができ、今ままでは接点を持つまでに至らなかった浅い見込み客との出会いを、出展社側に提供することができます。資料請求する側も名刺を差し出さずに最初のアクションを取れるのでより気軽に情報提供を受けることができます。

イベント時ではなく、こうしたイベント後にも商取引のきっかけを創造することで、出展社の満足度も高まることが期待できます。

未知なる出会いを促進

見本市や展示会というビジネスは、出展企業からお金を頂戴することが主な収益源になります。いかに出展を通じた見込み客の獲得をサポートできるかが肝になってくるのは言うまでもありません。

運営側として、受付にはじまるイベント運営の完成度を高めるのはもちろん、できるだけ多くの参加者とのマッチングの機会をあの手この手で創出することが重要なのではないでしょうか。

たかが受付管理システムですが、されど受付管理システムです。会場という舞台の上でシステムが果たせる役割はまだまだあるように思います。システムの徹底活用、是非検討してみてください。

開発スタッフのコメント
オンラインイベントも市民権を得たこの頃ですが、実際のものに触れながら商談ができるオフラインイベントはまだまだ主流であり続けることが予想されます。短い期間にたくさんの人が来場する性質上、いかに滞りなく人の流れをさばくかが主催側の腕の見せどころです。自社開催のイベントでできる限り汎用的に使えるように作ることで、投資対効果を高めることは十分に可能ですので、システム化による業務効率化と、ユーザー体験の向上を検討してみてください。