ネットで取りまとめる時代

小学校や中学校で修学旅行の後の恒例行事と言えば写真の展示と注文でした。今でも変わらず行われている光景ですが、インターネットを活用して注文するケースも増えてきました。インターネット上で一覧画像をみて、ネットショッピングのようにカートにいれて決済する流れです。注文が完了したら郵送で写真が送られてくるという仕組みです。

大手の写真サービスが対応しだしてから、急速に普及してきました。今では派遣型のカメラマンサービスを行っている会社でも、販売配布は専用のサイトを通じて行っているところが主流ではないでしょうか。

時代の流れと言えばそうですが、考慮すべきことがたくさんあるため、なかなか簡単にはいきません。今回は、こうした行事やイベントごとの写真注文サイトについて、そのあるべき姿や実装すべき機能について、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 セキュリティに徹底配慮

学校行事であれば子供の写真ですし、イベント毎の写真であってもそこにはたくさんの個人が写っています。万が一にでも流出して気分が良い人はいないでしょう。当たり前のことですが、セキュリティには十分に配慮する必要があります。

SSL化して通信を暗号化するのはもちろん、購入対象者しかアクセスできないようにする工夫が重要です。具体的にはイベント毎に推測できないイベントコードを発行し、ユーザー毎にパスワードと共にアクセスしてもらう方式にします。そのコードを知らなければアクセスできないようにすることで、不特定多数によるアクセスを遮断します。

もし、取引上、継続的に利用されるサイトにできるのあれば、ユーザーに会員登録を促し、個人認証を強化すると共に、配送先の住所登録や連絡先メールアドレスを登録できるようにすることで二度手間を無くし利便性を向上させましょう。学校行事であれば、複数回行われることが当たり前なので、こうした繰り返しの作業の手間を軽減する工夫は必要になるでしょう。ITリテラシーは家庭によって異なるため、こういったITサービスに不慣れな方でも操作にとまどわないように、画面上の説明を丁寧にしたり、紙もので案内を補ったりと、いろいろな方法でサポートを検討すべきです。

また、注文の際にどんな画像かは確認できるようにするわけですが、簡単に保存できないようにする工夫を施すと共に、画像に透かしをいれることでそのまま流用できないようにすることも可能です。透かしをいれる作業は自動化することで運用工数があがることは最小限にします。

Point.2 写真注文とデータ注文に両対応

昔は写真でもらうというかたちしかあり得ませんでしたが、今ではデータのほうが欲しいという要望があるでしょう。そこで、実物の写真を配送するのに加えて、写真データをダウンロードできる販売形式も可能なようにシステムを設計します。もちろん、実物の写真とデータの価格は運営側の方針によって変わるため任意に設定できるようにします。

親同士でデータを共有しあう、ということも行われがちなので、データの販売を一切禁止するという学校も多いかもしれません。ユーザーの利便性と商売としての制限のバランスが難しいところですが、設定でON/OFFできるようにすることで、それぞれの事情で判断してもらえるようにしましょう。

さらに進んだ機能実装としては、ダウンロード販売する画像ごとに異なる識別情報を埋め込んでしまうという方法も考えられます。手間や仕組みとしては複雑になりますが、データのコピー元が特定できるため、不正行為者を見つけられるという直接的な効果はもちろん、そういった対策を行っていることを公表することで抑止につながったりする効果が見込めます。

Point.3 注文状況を集計し作業表に出力

写真注文があった場合は、その後に現像作業が待っています。現像作業自体は機械により自動化されているところがほとんどなので問題ありませんが、何を何枚出力するのかがデータとして存在していないととんでもなく非効率です。

日ごとや任意の時間幅で注文状況を集計し、好きなデータフォーマットで出力できるようにします。実際に使用している現像機材でそのまま読み込めるデータ形式に対応することでスタッフの二度手間を省き、現像作業を効率化します。同時に、配送先の情報も一括で出力し、現像から郵送までの工数も徹底的に削減しましょう。

違う人のところに写真が入ってしまうと大きなトラブルにつながるため、混入を防ぐ印刷、封入フローにすべきです。多少の効率が落ちたとしても発注単位で印刷し封入していくなどの工夫を行ってください。機械化や自動化が効果を発揮する領域ですので、積極的な投資も検討してみてください。

思い出をしっかりと届ける

楽しかった思い出を振り返りたい本人にとっても、自分達が参加できないイベントの様子をうかがい知りたい親にとっても、行事の写真というのはとても貴重なものです。だからこそ丁寧に確実にシステムを構築し運用していく必要があります。

必要となる機能やレベルが高いため決して簡単には構築できないシステムですが、一度構築してしまえば大きな競争優位につながります。攻めの投資として検討してみてください。

開発スタッフのコメント
イベントのカメラマン撮影というと、長らく写真があたりまえでしたが、今後の展開次第では動画の撮影、販売というものが主流になってくる可能性もあります。データ量の問題、また、コピー防止の問題等、比較的単純な写真とは異なった問題がでてきますが、システムとして対応できるようにすることで大きな競争優位になりえます。データ転送量が桁違いになるため、設計段階から考慮しておいたほうが、いざ動画をやるぞ、となったときに余計な工数、コストがかからなくて済む場合があります。