本は画面で読む時代

電子書籍専用端末からタブレット端末まで、ここ数年で電子化された書籍を読む手段は急激に増えました。同時に電子書籍を販売するサービスも増え始め、時代はちょっとずつ変わりつつあるのを感じます。スペースの問題もあり、物理的な本を数千冊所蔵することは普通の人には困難でも、電子書籍のデータであれば容易に可能です。そのあたりが電子書籍が支持される理由の一つになっているのでしょう。

とはいえ、全ての本が電子化されて販売されていないのが事実。そうしたギャップを埋めるサービスとして書籍のスキャンサービスが人気です。所定の住所に書籍を送れば、タブレット端末などで読めるデータに変換してくれるサービスで、過去の本棚整理から通勤の荷物減らしにまで、多彩なシーンで活用されています。電子書籍時代ではありますが、完全に移行しきれない事情を抱えた人はまだまだいるため需要がなくなることはないでしょう。

今回のテーマは、そうした書籍スキャンサービスのサイトやシステムをどのように構築すべきかについてです。いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 進行状況をシステム管理しユーザーにも公開

書籍の電子化データを作成するには、いくつものプロセスが存在します。まずは送られてきた荷物を受け取り検品し、スキャンしやすいように断裁、さらに一冊ずつスキャナーに通し、最終的なデータチェックを行ってはじめて納品というかたちになります。このそれぞれの行程をいかに効率化できるかがサービスコストに直接的に影響します。

工程の途中でエラーがでてやり直しになることもありますし、大量の書籍が毎日送られてくる中で紛失するリスクもあります。こうしたことを未然に防ぎ、もし万が一ミスが起こったとしてもすぐに問題解決ができるように、書籍一冊一冊に管理番号をつけ、それをシステム上で管理します。

バーコードスキャナで各工程終了時にスキャンすることで処理状況が自動的に更新されるようにしておき、工程状況はユーザーがマイページから確認できるようにします。自分が送った本があとどれぐらいで仕上がってくるかを可視化することで、待ち時間によるストレスを軽減しましょう。

Point.2 進行中の書籍数に応じて予測納期を自動表示

既に届いている書籍の処理状況から、現時点で送付された書籍の予想納期をサイト上に表示します。とはいえ、送付されているけど作業場に届いていない書籍など、不確定要素が多くあるため、今までの実績データからの予測数量も考慮にいれた上で予測納期を計算し、大きな遅れが発生しないように配慮しましょう。

早く届かないかとやきもきしているユーザーもいると思いますので、そういった進行中の状況をマイページ上で見られるようにするのも良いでしょう。あまり細かく表示するのは無理でも、おおよその納品日がわかるだけでも楽しいものです。もちろん、利用しているプランによっては優先処理のようなサービスが用意されていることもあると思います。そうした場合にはそういったプレミアムなプランを利用していることがわかる表示を追加したり、スピード感溢れる追い抜きを見せるようなエフェクトを追加するのもおもしろいかもしれません。

Point.3 遠隔作業も可能な管理システム

書籍のデータチェックの工程はどうしても人力に頼る部分が残ってしまいます。スキャン時の紙の傾きはひどくないか、変なゴミは付着していないかなど、チェック項目自体は単純なものですが冊数が増えてくると現場が混乱してきます。ある程度のものは顧客側に許容してもらえるかもしれませんが、サービス品質を向上させるという意味では決して無視できません。

そうした作業内容を分散できるようにあらかじめシステムを設計しておくことで、作業場以外の場所での作業が可能になります。在宅スタッフを活用するもよし、海外の安価な労働力を活用することも視野に入ってきます。通勤無しでスタッフが雇用できると、インターネットがつながる場所であればどこでも採用が可能になります。情報管理やセキュリティ上の対策を行えるのであれば、組織運営上は非常に大きなメリットになるでしょう。

知を持ち運べる幸せを

500ページの書籍も、数巻セットの書籍も、今では小さな端末で読むことができます。この「知」をどこにでも持ち運ぶ幸せを支えるサービスこそ、書籍の電子化サービスだと思います。

本代にプラスアルファになるため、コスト競争力がものを言う事業です。システム化を通じて競争力を高め、ユーザーが長く安心して使えるサービスを構築してください。

開発スタッフのコメント
電子書籍販売サイトの閉店などのニュースもあり、電子スキャン代行のニーズはまだまだ続きそうです。進捗管理を含めてすべて高度に連携させることができれば、効率的な流れ作業のみで、管理スタッフを極限まで少なくすることも可能でしょう。備品管理等もシステムにのせて、その耐用度や交換時期の提案機能などを追加すれば、さらにトラブルフリーの現場を構築することも可能です。