健康志向の高まりを受け止めるサービス

メタボリックという言葉が一般化し、相変わらずの健康志向ブームが続いています。ちまたではダイエット食品やサプリメント、スポーツジムの広告が氾濫し、食品から飲料までダイエット効果を謳うものが溢れています。

こういった健康志向の高まりを背景に、自分自身の運動データや健康指標データを記録したいという需要が発生しています。用途を絞った例であればNikeが展開しているようなランニング記録アプリなどがあげられます。記録するから継続するモチベーションが湧く、といった好循環を下支えする効果もあり、ユーザー数は増え続けています。スマートフォンアプリに目を向ければ、様々なトラッキング系のアプリが人気を博しています。どれもアプリ内にとどまらず、データを様々なデバイスで連携できるようになっており、データを核としたサービスモデルはどんどんと進化しています。

今回のテーマは、こうした各自の健康状態や活動データを記録し、管理できるサービスのシステムです。どのようなポイントに注意すれば、毎日心地よく使えて続けられるサービスを実現できるのか整理してみましょう。

Point.1 とっつきやすさの源泉はビジュアル

こういった記録系のサービスやアプリの大原則は、ビジュアルがきれいであることです。もちろん、むやみやたらにデコレーションすればいいというわけではありません。情報をしっかり吟味し、そぎ落とした上でのリッチな表現を目指します。無味乾燥なただの表よりも、視覚的に華やかで動きも楽しいグラフ表示のほうが、モチベーションが高まります。

グラフ化はもちろん、迷わない導線設計やわかりやすいボタン配置、利用していることが誇らしくなるクールなデザインなど、あげだせばきりがありません。こうした視覚化はデータがある程度蓄積された時にはじめて実感できるものが多いですが、データが少ない状態でもきれいに表示できるよう、時間軸や集計方法を工夫します。こうすることでユーザーの継続率を左右する「三日坊主」を防止し、アクティブユーザー数を安定的に増やすことを狙います。

スマートフォンはもちろん、AppleWatchなどのさらに小さい画面でのUI(ユーザーインターフェース)も検討してみてください。スマートフォンアプリにするか、スマートウォッチアプリにまで手を拡げるべきかの投資判断は一概にはできませんが、ユーザー数の拡大や目指すビジネス規模によっては当然選択肢に入ってくると思います。

Point.2 共有、比較でモチベーションを刺激

ユーザーが蓄積したデータは簡単に他のユーザーと共有したり、X(旧Twitter)などのソーシャルメディアに簡単に投稿したりできるようにします。こうすることでサービスの認知度を高めるための拡散を促します。また、同じ時期に記録を開始したユーザーの平均値や最も体重を減らした人などと簡単に比較できるようにし、自分の現在値を知り、さらに上を目指すきっかけを提供します。

また、特定のユーザーを自分のアカウントに招待しメンター登録をすることで、その人にリアルタイムに自分の活動状況報告が通知されるようにします。誰かに見られている方ががんばれるという人間の性質を利用することで、より積極的にダイエットや運動に向かえるようにします。メンターとのメッセージのやり取りも簡単にできるようにし、運動や健康管理を通じたコミュニケーションを楽しめる土台を構築します。

データを軸にしたコミュニケーションは会話のネタが明確でコミュニティが育ちやすい傾向があります。メンターと自分、そして他のユーザーといった具合に、様々なかたちでクロスするコミュニケーションをデザインすることで、単なる便利アプリを超えた存在を目指すことが可能です。一人では継続しないものも、励まし合うからこそ続く効果も見込めるため、コミュニケーション機能、コミュニティ機能といったキーワードでどういったアプローチが可能かを検討することをお勧めします。

Point.3 サイト内でのランキングや期間を区切ったコンペを開催

継続すればするほど、どうしても単調になってきてしまい、ふとしたきっかけで良い習慣ですらやめてしまうことがあります。こうしたマンネリにユーザーが陥らないように、サイト内ランキングを設置し、今の自分の位置をリアルタイムで通知するなどして刺激します。また、一定の期間でのがんばりを競うコンペを開催し、優秀者には何かしらのインセンティブを付与するなどして変化や目標を提供します。

サービスを長く利用していないユーザーに対してはもう一度奮起することを促すメールやメッセージを送信するのも良いでしょう。過去のペースやリスタートのためのプランを提示するなどして、再びがんばりはじめるためのアシストをするのも有効です。ずっと同じことを続けるのは大変ですが、何かのゴールに向けて短期間であればがんばれるという人も多いと思います。そうした人たちなりの楽しみ方もできるように配慮してみてください。

続けるための楽しさを創造する

継続は力なりとは言いますが、最も難しいのが継続でもあります。面倒さをできるだけとっぱらうだけでは不十分です。続けることで楽しくなる、そんな環境を構築してこそ、真の意味での継続をサポートできるのではないでしょうか。

同じ目標を持つ人達のコミュニケーション、メンターのサポート、過去の努力の実感、こうしたもの全てが一つの場所に美しく統合されているとしたら、より多くの人を健康的なライフスタイルへ導けるように思います。

開発スタッフのコメント
自分達だけの閉じたサービスにするか、外部との連携も視野にいれた開いたサービスにするかで設計が変わってきます。閉じたものであれば何もありませんが、開いたサービスとして一番簡単なのはCSV等のファイルでデータを出力できるようにすることです。エクセル等、自分で何か編集したり、他のサービスにインポートしたりする際に自由度が高く、それほど開発コストのかからないコースです。これ以外では特定のサービスとの連携を想定して専用の機能を開発する方法もあります。このあたりはビジネスとしてどういった事業連携を行っていくかにあわせて判断してみてください。