ライフスタイルの多様な変化

ライフスタイルは時代と共に変化するのが常です。衣食住の多岐にわたり様々な変化が起こっていますが、住の分野で現代を代表する変化の一つにシェアハウスの流行があげられるのではないでしょうか。

一つの部屋というよりも大きな家やアパートを共有部と個人部にわけて多人数で住むというもの。通常の個別の家よりもプライバシー性は下がるものの、共有部分が広く使えたり、交流が生まれたりするところに興味を惹かれる人も多いのではないでしょうか。その性質上家賃も低いことも多く、コストを抑えたい人にも人気があります。

シェアハウスというと大学生や若者といったイメージが強かったのも事実ですが、最近は幅広い層での利用が進んでおり、単純なものからテーマ性を持ったものまで、様々なシェアハウスが登場してきています。

今回のテーマはこのシェアハウスのポータルサイトです。インターネットが当たり前の時代、シェアハウスの管理や住人同士のコミュニケーションにもポータルサイトを活用するところが増えてきています。交流を促進し管理を省力化するためにシステムが何ができるのか、いくつかのポイントにわけて整理してみましょう。

Point.1 将来の多言語対応に備えた設計

シェアハウスとなると様々な人が入居すると思います。国籍や信条の違いなど、そういった人達を受け入れつつも問題を起こさないようにうまく運営していくのがビジネス上の肝かもしれません。一度トラブルを起こしてしまうと、人間関係にヒビが入り、それが日常生活に影響してしまうのがシェアハウスでもあります。完全に別の家ではないからこその配慮が必要になります。

絶対に日本人しか入居させないシェアハウスであれば不要ですが、ポータルサイトは住人と管理側のコミュニケーションハブでありルールが掲載された聖典のようなものです。まずは英語対応、そして入居者が話す比率にあわせて韓国語や中国語、ポルトガル語やスペイン語と展開を増やしていくのが現実的です。多言語対応の方法はいくつかあり、単純に多言語で併記するものから、サイト全体の言語設定を切り替える方法まで用途にあわせて選ぶのが良いでしょう。

システム上は言語ファイルというかたちで各翻訳を管理することで、大幅な改修やメンテナンスタイム無しに柔軟に言語を追加していけるようにしましょう。言語対応の数だけターゲット層が拡がると考えれば、少しは前向きな投資に感じられるのではないでしょうか。

Point.2 プッシュ通知ができる連絡版

ポータルサイトが存在していたとしてもそれを見るかどうかは住人の意思です。とはいえ、各自の意思に任せておくと大事な連絡事項が伝わらず、ルール遵守の徹底もなかなか進まないのが現実です。身近な例であればゴミ捨てのルールや、騒音問題、部屋への友人の招き入れのルールなど、シェアハウスごとのルールがあれば、それが最大限に守られるように周知徹底すべきです。

シェアハウス内の連絡板に張り出すのはもちろん、各自の携帯電話やパソコンのメールやSMSを登録してもらい、そういった端末にも簡単に送信できるようにします。リアルとオンラインの組み合わせで情報伝達を確実にし、「見ていなかった」という言い訳ができないような状態を実現しましょう。連絡の手間を小さくすると、連絡とコミュニケーションを分離することができ、普段は管理運営上必要な人間関係を構築するコミュニケーションに集中することができるようになります。

Point.3 お役立ち情報やルールをWiki形式で蓄積

シェアハウスの強みの一つはたくさんの人達が生活するノウハウに溢れているということがあげられます。多様な人達が違う視点で同じ地域で生活する中で発見された個別ノウハウをうまく蓄積することができたなら、入居間もない人や入居を検討している人にとってはとても魅力的な情報になります。

ポータルサイト内にWikiを設置し、そうしたノウハウが蓄積されるようにします。行政手続きのことやシェアハウス内ルール、簡単なFAQなどは運営側が先に整備してしまいましょう。後の個別具体的なお役立ち情報や運営側が追加してもいいですし、当番制で住人が書くも良し、はたまた何かしらの報償をもうけてWikiを盛り上げていくのもおもしろいと思います。もちろん、変な情報が書き込まれたり、誰かを傷つけるような投稿がないかは定期的にチェックすべきです。住民間でそういったものを管理会社に通報できるような仕組みを設けておけば、最小限の手間で住民間トラブルに早く気づくことができるでしょう。

うまくカテゴリー分けされたノウハウはまさにシェアハウスの資産。近所のおいしいお店リストを参照してたまには入居者みんなでパーティーというのも乙かもしれません。

プラス促進とマイナス防止を担うポータルサイト

シェアハウスのポータルサイトに求められる役割は複雑です。交流を促進するというプラスの役割と同時に、トラブルを防止するというマイナスに働きかける役割も求められます。きっちりと練られたポータルサイトと運営者の継続的な努力があれば、その両方を実現するのは難しいことではありません。

大切なのは積み上げていくことだと思います。蓄積されたノウハウは資産となり、やがてポータルサイトを幹としたシェアハウスの文化を創ります。道のりは長いですが、一歩ずつ確実に取り組んでみてください。

開発スタッフのコメント
シェアハウスはまぎれもなく一つのコミュニティですし、そこで蓄積されていくノウハウや情報も一つのコミュニティです。オンラインのツールを使う以上は、作りっぱなしではなく、そのクオリティを担保する仕組みや担当者、また、定期的に機能の見直しを行う運用にするなどの工夫が必要です。地味な作業を伴いますが、それが年月を経るごとに他に真似ができない競争優位につながります。