周りの声は気になるもの

定期的にコンビニの新商品をチェックするのが密かな趣味だという人は、都市部を中心にかなりの数がいるのではないでしょうか。めまぐるしいスピードで発売されては消えていく新商品。昔から変わらぬ定番商品。そうした様々な商品の栄枯盛衰を眺めているだけで楽しくなってきます。

ブログやX(旧Twitter)で食べた感想を書いている人をたくさん見かけますが、そうした声がたくさん集まるポータルサイトというのも需要があります。その商品に興味がある人同士が意見を交換したり評価をしたりする、まさにユーザー参加型サイトの典型例です。気になる商品をすべて食べられれば良いんですが、時間も胃袋もお金も、そしてカロリーも許さないのが世の中です。レビューを閲覧することができれば、より精度高く自分の好みのアイテムに出会うことができます。

今回のテーマはそうしたお菓子やインスタント食品、冷凍食材や調味料などの食品をテーマにした口コミポータルサイトです。どういったポイントに気を付けて構築すればしっかりとした価値をユーザーに提供することができるのか整理してみましょう。

Point.1 掲示板とレビューの基本機能を充実

口コミポータルサイトなので、商品ごとの掲示板や、レビュー機能は必須です。そしてそこを徹底的に高機能にしましょう。例えば、掲示板ごとにウォッチ設定ができるようにし、自分が興味のある掲示板に更新があった場合にメール通知が受け取れるようにします。また、掲示板での盛り上がり具合を可視化し、サイト全体を通して盛り上がっているトピックをランキング表示するなどしてサイト全体のライブ感を加速させます。

同じ商品に興味がある人同士の議論は大いに盛り上がる可能性はある一方で、さびれた掲示板になってしまうリスクがあります。運営側でそうした盛り上がりやさびれ具合を把握し、導線、露出の調整でコミュニティづくりをサポートすべきです。理想的にはすべての掲示板が程度の差やタイミング的なものはあれ、盛り上がっていることが理想的なのは言うまでもありません。

一方で違反投稿や不適切な投稿の通報機能も実装し、高いレベルでのユーザー間の自浄作用を促進します。さらにNGワードや口けんか自動検知システムを実装し、居心地の良い意見交換の場を保つために監視機能を高めます。こうすることで運営スタッフの工数を抑えながらも質の高いサイト運営を実現します。

Point.2 基本情報や安全に関する情報もしっかり整理

購入前にユーザーが参照できるよう、メーカーサイトで公表されている情報やラベルに記載されている情報をしっかりと基本情報として掲載します。また、成分やカロリーなどを数値として保持し、並べ替えや検索の基準データとして使用できるようにし、検索の利便性を高めます。アレルゲンの情報なども必要でしょう。

このあたりのデータ入力はユーザーに自発的にやってもらうのがベストですが、ユーザーの負担を減らし口コミが少しでも増えるように配慮したいのであれば自社スタッフで行うべきです。ユーザーが口コミを書こうと思ったときに、投稿すべき商品ページがあるかないかでは、投稿率が大きく変わってしまいます。もし、自社スタッフの人件費が割高な場合は、クラウドソーシングのかたちで在宅スタッフを活用するなどしてコストを抑えましょう。

さらに踏み込むのであれば、レビュー内の情報を統計化して、データとして表示するのも一つです。これがどれぐらいの人にどのように評価されているのかが直感的にわかれば、より評価の高い商品を探す際に役立ちます。こうした情報はスポンサー企業やコラボレーション先との議論の際に役立つため、収集できるのであれば積極的に集めるべきです。

Point.3 年間ベストやインパクト賞などの投票で盛り上げ

レビュー評価によるランキングはどうしてもレビュー者の点数のつけ方によって評価基準が大きく上下してしまいます。それに常に集計が行われているのでイベント的な盛り上がりに欠けてしまいます。評価基準をうまく平準化するための啓蒙や仕組みづくりには取り組むべきではありますが、どこまでいっても限界があるのも事実です。

一年や半年に一度というかたちで、ユーザーによるベスト商品投票を行います。まさに総選挙です。二重投票を防ぐ仕組みは別途必要ですが、期間中にユーザーが一人一票、自分がもっとも良いと思う商品に投票します。その集計結果をリアルタイムでサイトに表示し、最終的に選ばれた商品にサイトとしてのお墨付きを与えます。こうしたイベントを通じて、マンネリ化しがちなサイトに新しい風を吹き込みましょう。

蓄積こそが経営資産

口コミの蓄積は長く遠い道のりです。ですが、蓄積した口コミの数は決して裏切りません。まさに経営資産と呼べるものになり長期にわたりビジネスを下支えしてくれます。生の声というのはいつの時代も価値を持つものなので、その口コミをベースに、他の事業への展開も見えてくるかもしれません。

口コミの数を左右するのは基本機能の充実です。販促が担う部分ももちろんありますが、ユーザーが心地よく利用し定着してくれることのほうが重要なのは言うまでもありません。愛されるサイト作りを一歩ずつ。長い道のりですが、一歩一歩ずつ確実にステップアップしていきましょう。

開発スタッフのコメント
口コミ系のサービスでは、その口コミの質を担保する仕掛けが必要です。ほったらかし、というのも一つのアプローチですが、ひたすらに荒れていく可能性もあるため、仕組みとしてそれを監視したり、より高めたりできるようにすべきです。レビューを書き込む際にどのようなポイントに気をつけて書き込むかを自然なかたちでアドバイスする等、細かい機能上の工夫の積み重ねでレビューの質は高めることができます。